【緊急解説】フォルクスワーゲンのディーゼル不正は何が問題になっているのか?

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2015年9月19日、ドイツを代表する企業で世界的自動車メーカーであるフォルクスワーゲンに関して、排ガス試験の不正が報道されました。

ドイツ国内に大きな衝撃を与え、自動車産業史上、最大のスキャンダルとも言われるこのニュース。

しかもスキャンダルにとどまらず、世界経済にも大きな影響を及ぼしかねないと言われています。

世界有数の企業にいったい何が起きたのか。
現時点(2015年9月25日)までに判明している情報をもとに、今回の騒動の概要を解説してみたいと思います。


「クリーン」ディーゼルじゃなかった

アメリカの環境保護局によって摘発された不正の内容はこうです。

フォルクスワーゲン社が販売するディーゼルエンジン車において、排ガス検査のときだけ、窒素化合物などの不純物の排出が少なくなるよう、エンジンのソフトウェアにこっそりとプログラミングしてあった。
検査ではない通常走行時には、なんと基準値の10~40倍の有毒物質が排出されることが判明。
実際は完全に基準値オーバーの排ガス数値にもかかわらず、故意に仕掛けを施すことで検査を免れ、基準をクリアしていた。

そんな都合のいい仕掛けができるのかと不思議に思うかもしれません。
実は、排ガス検査時と、路上での一般走行時との自動車の置かれた状況の違いを巧妙に利用したハイテクな仕組みが施されていたのです。

どういうことかというと、排ガス検査時には床がローラーになった台の上で自動車を稼働させるのですが、そのローラーがクルクル回るおかげで自動車はその場から移動することがありません。
だから、一般走行時とは違って検査の間ずっとハンドルは固定されたままです。

今回の不正の仕掛けにあたってフォルクスワーゲン社が目をつけたのはここです。
つまり、一定時間ハンドルに動きがなく、なおかつアクセル操作も一定のままでエンジンが走行モードになると、それを検知したソフトウェアがいまは検査中だと判断し、排ガスを少なくする仕組みになっていたというカラクリなのです。

フォルクスワーゲンは、自社のディーゼル車を環境負荷の高い昔のディーゼルエンジンとは区別するため「クリーンディーゼル」と名づけ、環境に優しい新時代のディーゼルエンジン車として大々的に宣伝・セールスしてきました。

しかし、実際は基準値に見たないレベルのシロモノであり、エンジンもやり方も到底“クリーン”とはいえないものだったのです。

この不正によって、今後どんなことが起きる?

同社は、このソフトウェアを埋め込んだディーゼル車を2009年から2015年にかけて販売しており、対象車は全世界でおよそ1100万台にものぼるとも。
アメリカの環境保護局からは1台あたり37,500の制裁金が課されると言われていますが、合計すると・・・おそろしい数字になるのがわかります。
(なお、日本国内では対象車は販売されていないそうです)

しかも今回の件は、単純に数字だけをいじったとか、過失によって起こってしまったというものではなく、基準値にまったく満たないレベルの排ガスが出ることをわかっていたうえで、あえてそれを隠す工作をしていたわけですから、黒も黒。非常に悪質な、真っ黒なケースです。

そのため今後同社は、上記の制裁金だけにとどまらず、リコールとそれに伴う無償改善の経費、そして待ち受ける集団訴訟など、想像がつかないレベルの出費を覚悟する必要があります。
不正の規模の大きさ、そして悪質さを考慮すると、いくら世界に冠たる大企業とはいえ自社だけでは対処しきれないレベルの出費になるでしょうから、国が救済に腰を上げる事態に発展するかもしれません。

近年、世界の自動車販売で日本のトヨタと激しいトップ争いを続けてきたフォルクスワーゲンですが、ブランドの失墜は免れず、それによってドイツの雇用の7分の1を支えるという自動車およびその関連産業にも深刻な影響を与えるのは火を見るよりも明らか。
ドイツ製自動車の販売不審や自動車関連企業の失業率の増加により、ドイツにとっては史上稀に見る経済的ダメージを負う可能性もあります。

さらにその影響はドイツ一国にとどまらず、欧州経済、ひいては世界経済にも危機的状況を招くおそれも否定できません。

このように、今回の件は一自動車メーカーの単なる不正というレベルでは到底おさまらず、極めて深刻な事態につながる可能性をはらんでいます。
決して、ライバル企業である日本やアメリカの自動車メーカーにとってチャンスと単純に喜んではいられない事態です。

とにかく今は、より詳細な真相が判明し、不正の影響が最小限にとどまることを願うばかりです。

→【合わせて読みたい】クリーンディーゼル車は何故普及しない?普及が進むヨーロッパとの違いは何だろう?

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モリオ

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