「奨学金が返済できない!」最近増えている奨学金の未納は本人や家族の家庭崩壊や人生を狂わすことも…そうなる前に必ず行うこと


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奨学金を利用して大学や短大、専門学校への進学を計画している家庭は少なくないでしょう。
奨学金は国が行う公的な学費制度で、多くの子供たちが奨学金を利用して毎年のように進学しています。

しかし奨学金はあくまでも借金。卒業することで返済を開始しなくてはいけません。
もし奨学金の返済を滞納してしまうと様々な問題が起きてしまうことになります。
これから紹介する田中さんも奨学金が原因で大きな問題を抱えてしまった一人です。

「えっ…なんで?」

田中さん(仮名)は言葉を失ってしまいました。
田中さんは自宅アパートで受けた電話でそうつぶやいたのです。

田中さんは奥さんと子供1人の3人家族。
年齢は35歳で年収は480万円のごく普通のサラリーマン世帯。
彼がなぜ絶句してしまったのか?

…それは銀行の担当者からの連絡に対してでした。
実は銀行に申し込んでいた住宅ローンを断られてしまったのです。

いったいなぜ田中さんは住宅ローンを断られてしまったのでしょう。
実は田中さんが住宅ローンを断られた理由は学生時代に利用した奨学金が関係していました。
しかしその時は原因が学生時代に利用していた奨学金だったとは解らず、ただ困惑するばかり…。

このように奨学金の返済が理由で、将来に渡り様々な金融トラブルが起こるケースがあります。
特に奨学金の返済でトラブルが起きた場合は、人生設計(ライフプラン)を狂わせる大きな要因にもなるでしょう。
田中さんがなぜ住宅ローンの審査に合格しなかったのかは、後で詳細に説明します。

その前に子供の教育を支援する国の制度である「奨学金」の未納について、その対策や影響を紹介します。

返済は義務!実は増加していなかった奨学金の滞納者

最近テレビなどで奨学金の返済の特集が組まれることがあります。
その内容はあたかも滞納者が増加しており、返済方式について無理があるような印象を与えていますが事実はどうなのでしょうか?

奨学金を運営しているJASSO(日本学生支援機構)の統計では「返還を要する人数に占める延滞3ヶ月以上の者の割合」が平成15年度は10%に対して、平成29年度は3.7%にまで減少しています。

つまりテレビなどの情報による印象とは違い奨学金の滞納者は減少しており、現在は約4%の水準にあることが解ります。

JASSOが行う奨学金事業は国の政策であり税金で賄われている公的事業。
あくまで原則は貸付であり一部の奨学金を除き返還が必要です。
それでは奨学金の種類を簡単に見てみましょう。

■ 給付奨学金:返還の義務なし
■ 貸与奨学金(第一種):元金のみ返済の義務あり
■ 貸与奨学金(第二種):元金と利息の返済の義務あり
■ 併用奨学金:第二種部分のみ元金と利息の返済、第一種部分は元本のみ返済の義務あり

このように給付奨学金以外については返済が義務になっており、学校を卒業した後から返済が開始されます。
また利息が必要な貸与型奨学金(第二種)は在学中は無利子で返済が開始されてから利息計算が始まることに。

次に奨学金の返済の流れについて見てみましょう。

奨学金の返済ルールについて見てみよう

奨学金の支給は大学などの学校に入学してから開始されます。
奨学金の申込みを行っていた採用決定者の学生は、進学届をJASSOに提出するタイミングにより4月から5月に第一回の奨学金を受け取ることができます。

奨学金はその後、毎月指定の口座に振り込まれますが毎年「奨学金継続願」をインターネットでJASSOに提出する義務が生じます。
この奨学金継続願は「学業を真面目に行っているか?」「単位は取れているか?」「授業を休んでいないか?」などを確認し、毎年適格認定を行う資料として利用されます。

毎年行われる適格認定で「不適格」と判断されると奨学金の停止だけではなく、今まで支給された奨学金の返済を求められるなどのペナルティがあるので十分注意しないといけません。

それでは奨学金の採用から返済に至るまでの流れを紹介します。

(1)奨学金の予約採用決定
(2)大学、短大、専門学校等に進学
(3)進学届の提出
(4)奨学金支給開始
(5)年一回、奨学金継続願の提出
(6)卒業により奨学金の貸与終了
(7)返還の手引き、貸与奨学金返還確認票の受領
(8)奨学金返済口座の提出
(9)卒業から7ヶ月後から奨学金返済口座から返済開始
(10)年に一回、JASSOから振替案内の送付
(11)返済終了

このように返済に至る流れはシンプル。
3月に卒業したケースではその年の10月27日が1回目の奨学金返済となります。
卒業してから10月末まで返済はありませんが、その間に慌てないように準備することが大切ですね。

奨学金の返済方式は定額返還方式と所得連動返還方式がある

奨学金の返済方式は定額返還方式と所得連動返還方式があります。
返済方式は奨学金の採用時に提出する「返還誓約書」で指定し、原則として変更することはできません。

■ 定額返還方式:毎月定額の月賦返還かボーナス返済を加える併用返還から選択する
■ 所得連動返還方式:卒業後の所得に連動して返済額が決まる(ただし最低額があり)

返済方法は定額返還方式と所得連動返還方式から選択できますが、所得連動返還方式を選べるのは第一種貸与奨学金のみであり、第二種貸与奨学金では定額返還方式しか選択できません。
ただし月賦返還か併用返還かを選択することはできますので、将来の返済を考えて選択するようにしましょう。

注意!給付奨学金でも返還が必要になることがある

給付奨学金は平成29年から始まった新しい奨学金で、原則として奨学金の返済が必要ありません。
つまり「奨学金をあげるからしっかり勉強してね」と国が後押ししてくれる制度で、特に「社会的養護を必要とする人」「生活保護世帯」を対象にしています。

しかし、無条件で奨学金を「あげる」ことではなく、一定の条件を満たさないと返還の義務が生じてしまいます。

■ 卒業延期が確定した場合
■ 当年度の修得単位数が標準的な修得単位数の半分以下の場合
■ 在学学校長が当年度の修得単位数が著しく少ないと判断した場合
■ 除籍、退学、無期停学、3ヶ月以上の停学の学校処分を受けた場合

このような条件に該当した場合、給付奨学金であっても返還義務が生じ一部もしくは全額の返済が必要になります。

給付奨学金は特別な奨学金で誰もが利用できるものではありません。
採用者は奨学金を無駄にしないでしっかりと勉強し、返還措置にならないように十分注意しましょう。

困った!奨学金が返済できなくなるとどうなるのか?

奨学金の返済は長く15年~20年かかることは珍しくありません。
そうなると22歳で卒業した人は37歳~42歳になっていますよね。
それくらい長い人生を奨学金の返済に充てるのですから、様々なトラブルが起こることも想定されます。

中でも問題なのが経済的な理由による返済滞納。
これは仕事のトラブルによる収入減、リストラ、借金、病気、怪我など理由は様々ですが、何らかの要因より収入が減少して奨学金の返済ができなくなる問題です。

奨学金は毎月指定口座から自動引落しされますが、残高がなくなることで引落しできなくなり「奨学金の返還滞納状態」となります。

奨学金の返済が滞納状態になるとJASSOから様々な方法で督促が入ることになります。
滞納が確認された後のJASSOの対応を見てみましょう。

【電話による督促】
JASSO職員から電話による督促が入ります。
督促は9時から21時の間に入り、滞納の状態や入金の約束などの相談を行います。
JASSOの奨学金は債権管理回収業の「特別措置法」において「特定金銭債権」と認定されており、法務大臣から債権回収会社が管理、回収することが許可されています。
そのことから督促の電話はJASSO職員のみではなく、債権回収会社の社員から入ることもあります。

【勤務先に電話による督促】
自宅の電話がつながらない場合(連絡の方法がない)や事前に許可を得ている場合には、勤務先に電話による督促を行うことがあります。
原則として個人名での電話になるので、奨学金の滞納督促とは解らない配慮は行うことになっています。

【文書による督促】
電話による督促と同時に文書による督促を行います。文書には滞納状態が記載されており、JASSOへ連絡するように促されます。
文書を受けとった場合には直ちにJASSOへ連絡するようにしましょう。

【自宅への訪問】
電話や文書の送付では連絡が付かない場合には自宅への訪問を行います。
自宅へは法律で許可された時間帯に訪問し、これからの返済について協議します。

このように滞納が発生した場合にはJASSO以外に債権回収会社からも督促が入る可能性があります。
督促を受けた場合には正直に現在の状態を説明して、真摯に相談を行うようにしましょう。

奨学金を滞納すると延滞金が付加されてしまうぞ

奨学金の返済を滞納すると滞納期間によって延滞金が付加されます。
延滞金は第一種奨学金で年利2.5%~5.0%、第二種奨学金で年利5.0%~10.0%です。

特に第一種奨学金は利息なしで利用できる奨学金。
滞納で利息が付いたら意味がありませんよね。
滞納すると返済の負担はどんどんと増していき滞納したまま放置すると、どんどんと借入金額が増加することを覚えておいて下さい。

督促を無視したらどうなるのか「人的保証のケース」

奨学金の保証制度は「人的保証」「機関保証」の2種類があります。
人的保証は「連帯保証人」「保証人」の2名で、滞納することで各保証人に対しても請求書が送付されます。

特に連帯保証人は債務者と連帯して債務の責任があるので、債務者と同等の返済義務が生じます。
また保証人も債務者、連帯保証人に支払い能力がない場合には、支払い義務が生じ返済義務を負うことになるのですね。
人的保証で長期間滞納状態が続いた場合のJASSOの対応を見てみましょう。

(1)支払い督促予告を債務者、連帯保証人、保証人へ送付
(2)裁判所へ支払い督促の申立てを行う
(3)仮執行宣言付支払督促申立てを裁判所へ行う
(4)強制執行を債務者、連帯保証人、保証人へ行う

長期間の奨学金滞納で行われる対応は厳しいものになっており裁判所へ奨学金の返済義務があることを確認し、督促に応じない場合は仮執行で財産を強制執行されてしまいます。

人的保証でお父さんに迷惑をかけた佐藤さん(仮名)のケースと、収入が安定しているに関わらずルーズな性格で滞納した太田さん(仮名)のケースを見てみましょう。

【お父さんの自宅が競売にかけられた佐藤さんのケース】
佐藤さんは奨学金で大学へ進学し無事に卒業しましたが、なかなか就職先が見つかりませんでした。
なんとかアルバイトで生活を凌いでおり、奨学金の返済は親の収入でギリギリ賄っていたのです。
しかし父親が定年退職で収入が無くなり年金生活になってからは、援助も受けられずについに返済を滞納することに。

佐藤さんは奨学金を借りる時に人的保証を選択しており、連帯保証人が父親、保証人が叔父さんです。
父親も生活で手一杯で貯蓄もなく、奨学金の返済を肩代わりすることはできませんでした。

JASSOからは督促の電話や手紙が何度も送られてきましたが、佐藤さんはお金がないので無視するしかありません。
その間に父や叔父のところにも督促が届くようになり、どうすればよいか解らなくなり逃げてしまったのです。

結局JASSOと話し合いも行わなかったことから、連帯保証人である父親の自宅が強制執行で競売にかけられることに。
佐藤さんの父親は奨学金の滞納のために自宅を失うことになりました。

【給与を差押えられてしまった太田さん】
太田さんは大学を卒業して大手企業に就職も決まり、奨学金の返済も順調に行っていました。
しかし銀行口座を変更する際にJASSOへ連絡するのを忘れたことで滞納が始まったのです。

太田さんの収入では十分に返済できましたが、滞納が続くと滞納額も多くなり支払うのが面倒なことから太田さんはJASSOの督促を無視して返済を長期間滞納したのです。

ある日の朝、太田さんは会社の人事部から呼び出しがあり、裁判所から給与の差押え命令が届いたことを知らされます。
JASSOが給与を差押えたのです。

これにより太田さんは毎月の給与から一定額を強制的に差し押さえられることに。
またJASSOは連帯保証人の父親にも全額返済の請求を行っていました。
結局連帯保証人の父親と相談して父親が一括で返済することになり、老後資金を崩して支払うことになったのです。

このように人的保証のケースでは滞納することで連帯保証人や保証人に大きな迷惑が掛かってしまいます。
中には老後の貯蓄や不動産などが差し押さえられてしまうケースもあり、大きな影響を与えることにもなりかねません。

奨学金で人的保証を選択している人は、滞納することで保証人に迷惑が掛かかることをよく理解することが重要なポイントです。

機関保証はJASSOを助ける保証!少し勘違いしている人が多い

機関保証は保証人が見つからない人が利用する制度で、機関保証会社(日本国際教育支援協会)が人的保証の代わりに保証人になってくれます。
保証制度で機関保証を選択すると毎月の奨学金の5%程度が保証料として差し引かれることに。
つまり保証料を支払うことで保証人の代わりになってくれるのが機関保証です。

しかし機関保証は学生である債務者を保護するものではありません。
あくまで債権者であるJASSOを保護するもので、返済が滞納した場合にはJASSOからの請求により「代位弁済」を行います。

代位弁済とは債務者に代わって返済を行うことで「奨学金の滞納が発生し一定期間状況が改善しない場合、JASSOが機関保証に対して代位弁済請求を行う」ことです。

つまり「債務者が滞納するから代わりに払ってね!」と請求するのが代位弁済だと考えて下さい。

それでは代位弁済に至る流れを確認しましょう。

(1)支払い督促予告を債務者へ送付
(2)一定期間の話し合いでも返済が改善されない
(3)債務者へ一括返済請求を行う
(4)JASSOから機関保証へ返還残額及び利息、延滞金の代位弁済請求を行う
(5)JASSOへ代位弁済が実行されることで奨学金の債権が機関保証へ移管される
(6)機関保証から一括請求の督促が債務者に行われる
(7)裁判所へ支払い督促の申立てを行う
(8)仮執行宣言付支払督促申立てを裁判所へ行う
(9)強制執行を債務者へ行う

実は機関保証を選択している人の中には「機関保証に保証料を支払っていたので、奨学金が支払えなくても補償してくれる!」と勘違いしている人が多く、保護者の中にもそのように考えている人が少なくありません。

機関保証はあくまでJASSOに対して代位弁済を行う組織で、債務者の債権が無くなることはありません。
住宅ローンと同じで債権が機関保証に移管され、そこから一括請求や督促が行われ返済の義務はなくなりません。
つまり借金がJASSOから機関保証会社へ移っただけのこと。

それでは機関保証を選択して滞納した山田さん(仮名)のケースを紹介します。

【機関保証を利用した山田さんのケース】
機関保証を利用して奨学金を利用していた山田さんは、毎月の5万円の奨学金の中から3,000円程度の保証料を引かれていました。山田さんは保証料を将来の保険だと勘違いしており、奨学金が返済できない事態が起こったら助けてくれると信じていました。

返済も5年を過ぎた頃、山田さんの会社が倒産して無収入に。
しかし山田さんは直ぐに就職せずに暫くはのんびりと過ごすことを選択。
奨学金の返済も滞納していましたが、機関保証会社が支払ってくれると思い放置していました。

JASSOからも電話や督促文章が送られてきましたが、このまま放置してまともに対応しなかったのです。

そしてある日、自宅に奨学金の代位弁済と債権の移管についての手紙がJASSOから送られてきて、債権が機関保証先である「日本国際教育支援協会」へ移管されたことが通知されたのです。

その後は日本国際教育支援協会から一括請求が届き、法的措置を取られることに。
お金の無い山田さんは差し押さえられる財産もなく自己破産するしか方法ありませんでした。

機関保証を選択した場合、保証人はいませんので家族に迷惑をかけることはありません。
しかしあくまで機関保証はJASSOに対して代位弁済を行うもので、債務者を助ける保証ではありません。
債権は日本国際教育支援協会に移管され、そこから新たな督促が始まることになります。

新たな支払い計画が作れればよいのですが、支払いが不可能な場合は「債務整理」を行うことも視野にいれなくてはならず将来の生活にも悪影響を与えることも考えられます。

自己破産による債務整理が将来的に起こす悪影響について冒頭で紹介した田中さんのケースで説明しましょう。

債務整理は最後の手段!将来のことを考えて慎重に考えよう

冒頭で紹介した田中さん。彼は480万円も年収があり妻もパートで働いています。
子供も小学校に入ることからマンションを購入して、落ち着いた生活を始めようと考えていたのです。

頭金に500万円、銀行の住宅ローンで3,500万円を借りる予定で、早速銀行の窓口で申し込むことに。銀行の担当者は田中さんの属性(年収、家族構成など)を見て、「これなら間違いなく審査は通りますよ。マイホーム楽しみですね!」と明るく話してくれたのです。

しかし冒頭のように審査結果は「NG」
融資を受けることはできません。
納得できない田中さんは銀行の担当者に説明を求めましたが「当社の規定で…」ばかりで話が見えてきません。

「もういいっ!こんな銀行なんて相手にしない」と別の銀行へ申し込むことに。
しかし結果は同じです。
申込み時には対応がよかったのに、結果は「NG」で審査は全て不合格に。
困ってしまった田中さんは知り合いのファイナンシャルプランナーに相談することにしたのです。

ファイナンシャルプランナーは田中さん話を聞いて直ぐにあること聞きました。

「田中さんは大学卒ですが奨学金を利用しましたか?」

「あっ!」

実は田中さんは奨学金を利用して大学を卒業しましたが、返済の過程でトラブルを起こしていました。

田中さんは奥さんと出会う前に実は「自己破産」を経験しています。
それは大学を卒業して2年目のことで当時勤めていた会社が倒産して収入が無くなり、奨学金の返済ができなくなったのが原因です。
また当時持病もあり直ぐに再就職できない状況から、長期の滞納に進んでしまいました。

田中さんは機関保証を選択していたので家族に迷惑をかけることはありませんでしたが、支払いができない状態から債務は機関保証会社へ移管され一括請求を求められることに。

こまった田中さんは父親と相談して弁護士に頼ることになり、その結果仕方なく債務整理(自己破産)を選択したのです。

自己破産をすることで奨学金の債務は消滅し、新しい人生を始めることができ翌年には今の会社に就職でき今の奥さんと出会ったのです。
「それは25歳の話でもう10年前の昔話だ」と田中さんは思っていました。
しかし、現実はそんなに甘いものではありませんでした…。

奨学金で債務整理を行うと何が起こるのか?

債務整理には主に4つの方法があります。

■ 任意整理
■ 個人再生
■ 特定調停
■ 自己破産

債務整理は債権者と債務者が話合いを行って返済方法を決める整理ですが、その他は裁判所が仲介して債務を整理する公的制度です。

この中で最も効力があるのが「自己破産」
自己破産は破産が認められ免責決定が出ることで全ての借金(税金を除く)が消滅し、無借金状態に戻ります。

田中さんの例では約400万円の奨学金が残っていたのですが、自己破産することで全ての債務が消滅しました。
結果として人生をやり直せることになったのです。

しかし債務整理は「諸刃の剣」
これを行うとブラックリストへの登録を免れることはできません。

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ブラックリストとは信用情報機関への金融事故登録のこと

奨学金の返済で債務整理を行うと必ずブラックリストへの登録が「信用情報機関」へ行われると思って下さい。
ブラックリストとは日本にある個人の信用を登録する登録機関で、「JICC(日本情報信用機関)」「CIC(割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関」「JBA(全国銀行個人信用情報センター)」の3社が主な信用情報機関です。

これらの信用情報機関は銀行、クレジットカード会社、リース会社、カードローン会社、消費者金融など全ての金融機関が利用しており、我々個人の信用状態がリアルタイムに登録されています。

ブラックリストの登録は「サラ金」「カードローン」「銀行の住宅ローン」の滞納の話だと思っている人も少なくありませんが、それは奨学金でも同じこと。
奨学金の返済を長期に滞納すると、その状況が信用情報機関に登録されて、日本全国の金融機関と共有されてしまいます。

田中さんのケースでは25歳の時に奨学金の滞納により行った自己破産の情報が信用情報機関に残っており、銀行の審査で「金融事故者(ブラックリスト該当者)」として扱われてしまったことが原因だと想定できました。

信用情報機関の登録は債務整理の内容によって違いますが、自己破産では5年から10年間は消えることはありません。
田中さんはまだ消えていない情報によって住宅ローンが借りられなかったのですね。

このような状況ではファンナンシャルプランナーでも打つ手はありません。
田中さんは情報信用機関の登録データが消えるまでは、マイホームを諦めるしかないでしょう。

奨学金の債務整理で起こる悲劇と悪影響

田中さんとは別の人の例ですが、奨学金による悲劇はまだあります。
田中さんと同じく自己破産をして住宅ローンを借りられなかった人の話ですが、自己破産を知らなかった奥さんが大変ショックを受けて実家に帰ってしまい最終的に離婚にまで至ったそうです。

奥さんにとって夢のマイホームが手に入らなかったことが、よほどショックだったのでしょう。

また信用情報機関へ登録されると金融機関のローンが利用できないだけではありません。
クレジットカードを作ることも不可能になります。
これはクレジットカード会社も同様に信用情報機関を使用しているからで、債務整理を行うことで全てのクレジットカードが使用停止になり新しく作ることもできなくなります。

クレジットカードがないとネットショッピングや旅行、またはスマホの支払いでも困ることになりますよね。
奨学金の滞納はそれからの人生を狂わせてしまう起爆剤になると思って、計画的な返済を心掛けて下さい。

学校や親にも責任がある奨学金の滞納

実は高校の先生の中にも奨学金をよく理解していない人が大勢います。
(ほとんどの先生が理解不足)単に進学するための「便利な資金」としてしか捉えておらず、将来の金利や返済については全く意識していません。

つまり進学させることだけが目的であり、安易に奨学金を進める先生が大部分を占めるのです。
しかし卒業した生徒の将来は関知することもなく、トラブルになっても高校の先生が相談に乗ることはないでしょう。
(そもそも知識がないから)

また両親も同様。
単に「自分達の負担を減らして進学させるための便利な制度」としか見ておらず、将来の責任について子供と話し合うことは少ないのではないでしょうか?

その意味で奨学金の滞納は「借りる」ことだけが目的の大人が、将来「返済する」立場になる子供によく制度を理解させていないことも責任の一端になっています。

JASSOには滞納者を救済する制度があるので必ず相談を

それでは奨学金の返済に躓いた時にどうすればよいのでしょうか?
答えは簡単「逃げないでJASSOに相談する」ことです。

JASSOでは常に返済が苦しくなった人向けに相談窓口を用意しており、返済困窮者には救済する制度もあります。

【減額返済制度】
病気や災害、経済的な困窮により返済が難しくなった場合、当初計画していた返済期間を延ばすことで毎月の返済額を少なくすることができます。
期間の延長は1回の申込みにつき12ヶ月で、最長で180ヶ月(15年)まで伸ばすことができます。
1回の返済額が少なくすることで返済が楽になりますが、返済期間が延びることを忘れないようにしましょう。

【返済期限猶予制度】
病気や災害、経済的な困窮、失業などの理由で返済が難しい場合には、願い出ることで返済期限を猶予することができます。
審査によって認められた期間は奨学金の返済が猶予されますが、返済が免除されることはなく再開されることで返済期間が延長されます。
返済期限猶予は「一般猶予」で通算10年(120ヶ月)ですが、所得連動返還型無利子奨学金では適用期間に制限は設けられていません。

【死亡または精神若しくは身体の障害による返還免除制度】
債務者が一定の状況に陥った場合には、奨学金の返済が免除されます。

■ 死亡による免除:奨学金返還者が死亡した場合
■ 精神若しくは身体の障害による免除:奨学金返還者が精神や身体に障害を負った場合

死亡の場合は本人が死亡した旨の記載がある戸籍抄本などの公的書類と奨学金返還免除願をJASSOに提出。
精神若しくは身体の障害による免除の場合は、医師の証明書や返還が不可能になった事情を証明する書類を奨学金返還免除願と共に提出します。

奨学金の金利は法率で3%が上限にされている意味

第二種貸与奨学金には金利が付きますが、法律で上限が3%までと規定されています。
つまりどんなに金利が上昇しても3%以上になることはありません。

現在は低金利なので変動方式で0.01%程度、固定方式で0.33%程度になっています。
上限の3%まではまだまだ余裕のある数値ですが、20年後の金利がどうなっているかなど解るはずもなく、もしかしたら3%になっている可能性も否定できませんよね。

ただし奨学金が3%に世界では銀行預金も3%以上になっているだろうし、経済も活性化して年収も増えているでしょう。
奨学金の上限3%はとても恵まれた借入資金であることを理解して下さいね。

奨学金の返済は難しくない!滞納の始まりを阻止することが大切

このようにJASSOでは奨学金の返済に困った人に対して、様々な制度により救済する体制を整えています。
奨学金の返済は例えば400万円の借入れで固定金利が0.33%としても毎月の返済は約17,000円です。
またボーナス併用では毎月8,600円、ボーナス月51,000円(20年払いのケース)。

どうですか、そんなに大きな金額ではないでしょう。
もちろんこれは20年間の返済期間かかかるので気が遠くなる話かもしれません。
しかし見てわかるとおり普通に働いていれば、生活を圧迫することもなく普通に返済できる金額だと思います。

特に現在は低金利なので利子が固定であっても負担は少なく、返済額が変わることもないので計画的な返済が可能。

このように1回の返済額の負担は大きくないことから、問題は滞納を始めてしまうことにあります。
つまり毎月の返済が17,000円であっても1回滞納すると34,000円、2回滞納すると51,000円と1回で支払う金額が増えてしまいます。
そうなることで支払いが厳しくなり長期滞納に繋がることが珍しくありません。

「滞納の始まりを阻止する」…これが奨学金を滞納させない一番大切な秘訣だと覚えておきましょう。

未来を切り開く奨学金が自分を苦しめる結果になってはいけない

奨学金は国が税金で進学したい若者を応援する制度。
奨学金は返済されることで次の世代の奨学金となり、さらに若い人たちが勉強するために活用します。
奨学金は常に回っており返済することで助かる人がいることを忘れないようにしましょう。

「初めから滞納するつもりはなかった」

滞納している人がよく話すセリフですが、本当にそうでしょうか?
本当に努力して毎月17,000円が返せないのでしょうか?
もちろん病気や怪我などの事情があれば、滞納せずにJASSOに堂々と相談に行けばよいのです。

諸学金は自分の未来を切り開くための資金として、国民の援助を受けて借りたお金。
それが数年後には自分を苦しめる原因になっては絶対にいけません。

奨学金の返済に困ったらまずはJASSOに自分から相談することを忘れないようにしましょう。
もう一度言います。

初めから滞納するつもりはなかった

このような言い訳は通じないのですから。

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この記事を書いた人
moose

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会社経営を経て夢のセミリタイヤを45歳で実現し、のんびりするはずが性格なのかファイナンシャルプランナーとして独立するはめに(泣)…成人した子供よりもポメ2匹を溺愛しています。のんびり書きたいライターです。
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