昨今よく耳にするようになった『クリーンディーゼル車』。
マツダがクリーンディーゼルエンジンを搭載した魅力的な車種を相次いで発売したことで、いまでこそ日本でもあちこちでこのエンジンを積んだ車が見られるようになりましたが、登場してしばらくはヨーロッパのように広く普及しませんでした。
なんと、2013年の自動車販売数の内訳では540万台中8万台(0.1%)と無いに等しい数字なのです。
逆にヨーロッパでは普及率40%以上という状況でした。
軽油は安いし、燃費も良くて環境にもいいなら、日本でももっと普及してもよさそうですよね?
この差は一体なんだったのでしょうか?
いろいろ調べてみました。
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そもそもクリーンディーゼル車とは?
世の中の多くの車がガソリンを燃料として走るのに対して、軽油を燃料として走る車をディーゼル車と呼びます。
軽油はガソリンよりも価格が安く、しかも燃費が良いため、長距離移動などで燃料コストのかかるトラックなどはディーゼル車が採用されることが多いです。
※ディーゼルエンジンついてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
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もっとも、そんなディーゼル車も良い面ばかりではなく、騒音が大きかったり、排気ガスの成分に粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOX )を多く含むなど、近年、環境への負荷の大きさが取り沙汰されることが多くなっていました。
そこで開発されたのが、「ポスト新長期規制」という排出ガス規制の基準に適応する、排出ガスが少なくて環境負荷が小さい、クリーンディーゼル車。
ガソリン車とクリーンディーゼル車の比較
性能比較
| ガソリン車 | クリーンディーゼル車 |
燃料 | ガソリン | 軽油 |
燃料単価 | 高い | 安い |
燃焼効率 | 低い | 高い |
トルク | 低い | 高い |
振動・音 | 小さい | 大きい |
耐久性 | 低い | 高い |
燃費はディーゼルの方が良く、軽油が20円程安いので燃料費はディーゼルが圧勝。
またエンジンの耐久性も高いため、長期間故障が少なく乗れるのもメリット。
低回転域のトルクが高いため発進後の加速性能が高く、街中の運転にはピッタリと言えますが、高速道路などの高回転域が必要なシーンには不向きです。
また、振動や音も昔のディーゼル車に比べて軽減されたとはいえ、ガソリン車と比べて大きいのはどうにもなりません。
環境比較
| ガソリン車 | クリーンディーゼル車 |
CO2排出量 | 多い | 少ない |
PM発生量
(微粒子状物質) | ほぼない | ある |
NOx発生量
(窒素酸化物) | ほぼない | ある |
環境的にはCO2を取るか、PM、Noxを取るかでどっちもどっちですね。
Co2が多くなると温暖化の助長になり、PM、NOxが多くなると大気汚染に繋がりますが、現在の環境規制においてはガソリン車もクリーンディーゼルもそれぞれクリアしていて更なる環境対策が日々研究されています。
ではコストパフォーマンスはどうでしょう?
分かりやすく両方のモデルがあるマツダのデミオで比較してみます。
| 新車価格 | 燃費 | 年間ガソリン代 |
ガソリンデミオ | 1,350,000円 | 24.6km/L | 57,000円 |
ディーゼルデミオ | 1,782,000円 | 26.4km/L | 45,000円 |
※1日本の年間平均走行距離は約一万km
※2レギュラー140円/L、軽油120円/Lとして計算
年間のガソリン費用はクリーンディーゼルが1万2千円もお得です。
しかし新車台の差は、43万2千円ですから、その差をひっくり返すのに36年間かかるという事になります。
何故ヨーロッパで普及が進んだのか?
ヨーロッパ車はガソリン車の燃費改善が日本ほど進んでおらず、クリーンディーゼルとの燃費差が大きくなっています。
そのわりに、新車価格はガソリン車とディーゼル車とで10万から20万円程度の差しかありません。
| ゴルフ(ディーゼル) | ゴルフ(ガソリン) | ベンツE(ディーゼル) | ベンツE(ガソリン) |
ディーゼル車購入費用差 | +1500ユーロ(20万円) | | 700ユーロ(10万円) | |
燃費 | 18.52km/L | 12.66km/L | 15.38km/L | 9.35km/L |
日本よりも1台の車に長く乗る傾向のあるヨーロッパの人々から見たら、コストメリットはディーゼル車の圧勝なんです。
日本で普及が進まないのは何故か?
まず第一に、日本人のディーゼル車への悪感情というのが挙げられます。
1999年の東京都の『ディーゼル車no作戦』という名の政策により、本来ディーゼル車及び、高公害車の環境対策が目的であったのだが、国民にはディーゼル車は環境に悪いから使えないという感情だけが先行してしまい、クリーンディーゼル車が登場してもしばらくは販売台数が伸びませんでした。
そして、消費者の購買意欲がマイナスだとメーカーは積極的に研究開発に乗り出す事が出来ないため、新車価格を抑えることができないという悪循環にも陥っていたといえます。
また、日本では低燃費競争がガソリン車を中心に起こったことにより、クリーンディーゼル車の燃費の良さがメリットになりづらくなってしまった事も一因かもしれません。
しかし、冒頭でも触れたように、登場したばかりの頃はクリーンディーゼル車にいまいち懐疑的だったユーザーも、改善された燃費や環境性能、そして快適なドライブフィールに好感を持ち、いまや至るところでクリーンディーゼル車が見られるようになりました。
世間では電気自動車など、次世代の動力が注目されていますが、それらが私たちの生活に完全に浸透するまではまだまだ時間がかかりそうです。
それまではしばらくの間、クリーンディーゼルエンジンなど従来の内燃機関を現代のニーズに見合った形に洗練した技術がまだまだ優位を占めそうです。
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