シンデレラは馬車から落ちた・・・!かぼちゃの馬車にみるサブリース不動産投資の限界

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皆さんは童話「シンデレラ」の物語をご存じですよね。
貧しいシンデレラは父親の再婚相手である継母とその連れ子にいじめられており、辛い日々を過ごしていました。
ある日、お城で王子様主催の舞踏会が開催されたのですが、シンデレラは留守番を言いつけられて、舞踏会に行くことができません。
しかし、優しい魔法使いが魔法でシンデレラに素敵なドレス、ガラスの靴、そして「かぼちゃの馬車」を与えて、無事に舞踏会へ行くことができました。
しかし、魔法の有効期限は深夜0時。シンデレラはガラスの靴を一足残して走って会場から姿を消してしまうのです。

私の知っているシンデレラはこのような内容ですが、最終的にはガラスの靴を手掛かりに王子さまはシンデレラを見つけて結婚することに。
めでたしめでたしですが、このシンデレラのような物語を不動産投資で夢見て、失敗した投資家が多発した問題が最近話題になっています。
不動産投資でシンデレラになれなかった投資家達にいったい何が起こったのでしょうか?


シンデレラの魔法が途中で切れていたらどうなっていた?

例えばこう考えてみて下さい。
「シンデレラは魔法使いにからかわれていて、実は午前0時と言われていた魔法の期限が、実は午後11時だったとしたら…」

きっとシンデレラは王子様の目の前で、汚い服や靴の姿に戻ってしまい、場合によっては侮辱罪で捕まって牢屋に入れられていたかもしれません。
魔法が切れることで、全ての計画が狂ってしまい、その後の人生も全て狂い軌道修正が必要になります。

不動産投資でも投資を開始する際に、一定の計画を立てて「借入れ」や「返済プラン」を行わなくてはいけません。
この計画には家賃収入や必要経費を加味して計算する必要がありますが、返済が20年以上と長期になることも珍しくなく、その意味ではアバウトな計画になってしまいます。
しかし、アパート経営などの不動産投資では、少しの計画の狂いから人生を台無しにする例も珍しくありません。

そこで人気なのがアパート建築と同時に行う「サブリース契約」
一見して投資家に有利に見えるサブリースですが、実は魔法使いに騙されたシンデレラを生んでしまう危険性があることを皆さんは知っていたでしょうか?

シンデレラは“かぼちゃの馬車”から転げ落ちた

「かぼちゃの馬車」はシンデレラに出てくる魔法の馬車ですが、この名前を使ったシェアハウスビジネスを展開していたのが株式会社スマートデイズ。
シェアハウスは近年注目されている住居形式で、トイレやお風呂が共用、各個室をレンタルするシステムで入居費を抑えることができます。
またかぼちゃの馬車は女性をメインターゲットに絞り、地方から上京してくる女性に初期費用を抑えた住居を提供していました。

しかし問題があります。
このかぼちゃの馬車のシェアハウスは、スマートデイズの自社物件ではなく、投資家が建てた物件をスマートデイズが「サブリース契約」で借り上げ、入居者へ転貸する方式を取っていたのです。

そしてそのサブリースが上手く回らなくなったことが原因で、投資家である大家さんへ家賃の支払いができなくなり、会社が破綻することになりました。
スマートデイズが行き詰まった原因であるサブリースとはどのような契約なのか?
詳しく説明しましょう。

サブリースは一括借り上げシステムのこと

テレビのCMで「一括借り上げシステムで大家さんも安心!」などの内容を見たことがありますよね。
これは大家さんである不動産投資家が建築したアパートを、建築会社や不動産会社が20年~30年の間、全部屋借り上げる契約を結び、部屋に空室が出ても家賃を全部屋分、借主である会社が大家さんに支払う契約です。

つまりサブリースとは一括借り上げシステムのことで、投資家が建築したアパートをサブリース会社(建築会社、不動産会社)が全て借り上げて、毎月の家賃を全部屋分補償するシステムだと理解して下さい。

「いや~素晴らしいシステムじゃありませんか?何が問題なのですか?」

一見してそう感じてしまうシステムであり、実際にサブリース契約でアパート経営を行っている投資家は大勢います。
今回問題になっているかぼちゃの馬車も初めは、特に問題もなく運営されていました。
しかしサブリースには大きな落とし穴があることを理解しなくてはいけません。

入居者が少ないと結局サブリースが破綻することに

シェアハウスは新しい住居として注目されています。
しかし、かぼちゃの馬車は需要を見極めることができずに、多くの物件を建築してしまいました。
スマートデイズとサブリース契約を行った投資家は、700人以上いると言われています。つまりそれだけ多くのシェアハウスを全国に展開していたのです。

しかし調べてみると実際の入居率は高くはありませんでした。正確な数字は解りませんが、だいたい40%~45%の稼働率であり、55%~60%が空室だったと言われています。
このような稼働率で家賃補償などできるはずもなく、2017年秋には家賃の減額、そして2018年1月には家賃の支払い停止状況に陥ってしまったのです。

サブリースを当てに銀行から融資を受けた投資家は、家賃が減額~停止されたことでパニック状態に。
それはそうでしょう。銀行への返済は最長で30年程度。
それをサブリースで契約した家賃で支払うはずだったのだから、生活が破綻してしまうくらいのダメージを受けて当然。
また銀行も返済の猶予を行わないことで、自己破産者が増加するとも予想されています。
ここでサブリースによるアパート経営で、被害にあったAさんの内容を見てみましょう。

「これは詐欺ではないのか?」途方に暮れるAさん家族

Aさんは老後のことが心配でした。
40代のAさんは今から貯金しても、老後を裕福に生活できるだけのお金を貯めることできないと思っており、退職金を合わせても厳しい老後を覚悟するしかありませんでした。
ある日Aさんは週刊誌で広告を見つけます。
それはサブリース契約でアパート経営を行うと、老後の生活資金が豊かになると書いてあり、「一括借り上げ」なので大家にはリスクがないとの内容です。

「これだぁ」と思ったAさんは早速、その広告を出したサブリース会社にコンタクトを取って、詳細説明を受けることに。
担当者によると「融資は当社が契約している銀行が行い、サブリースで一括借上げするので、大家さんにはリスクはなく老後の生活が安定します…」と美味しい話のオンパレードでした。

Aさんは家族と相談してアパート経営を始めることにしました。
そして、やはりその決め手はサブリースの存在であり、それが保険のような意味だと思い込んでいたのです。
Aさんの契約は以下の通りです。

■ 建築費用:1億3千万円
■ 融資額:1億1000万円
■ 自己資金:2000万円
■ サブリース家賃:毎月55万円
■ 融資返済:40万円
■ 融資年数:30年
■ 合計返済額:1億4400万円

この契約ではサブリース会社が一括借上げで毎月の家賃を55万円も保証してくれます。
部屋に空室が出ても55万円が毎月支払われるので、銀行の返済を行っても15万円も余裕がでますよね。
Aさんは年金に加えて15万円も副収入があれば、安心して老後を暮らせると安心したのです。

Aさんを襲った悲劇が始まるサブリースの崩壊

始めは上手く行っていました。
毎月の家賃も振り込まれるし、銀行の返済も問題ありません。
しかし、2年ほど経ったある日、一枚の手紙がAさんの自宅に届きました。
それはサブリース契約をしたサブリース会社からで、内容は「家賃の見直しについて」と記載されており、現在の55万円の家賃は維持できないので45万円へ減額するとの一方的な通知でした。

びっくりしたAさんはサブリース会社へ電話をして担当者と話しますが、いくら話しても平行線もまま。
会社の話では「周りに新しいアパートができて、今の家賃を下げないと新しい入居者が入らないので、Aさんへの支払いも減額するしかない」と言い、Aさんは「サブリース契約で55万円を保証しているので減額は認めない」と主張します。
最終的にサブリース会社は減額を認めないとサブリース契約を解除すると脅しをかけてAさんは渋々了承するしかありませんでした。

しかし、これがAさんの悲劇の始まりで、翌年には38万円、そして35万円、ついには了承もなく20万円しか振り込まれなくなったのです。
そしてとうとうサブリース契約の解除を通知されてしまったのです。

Aさんはサブリース会社と話し合いを行うのと同時に、銀行の返済を自腹で行う必要もあります。
しかし、サラリーマンのAさんには生活費以外に、40万円もの返済を行う収入はありません。減額の時点では奥さんもパートへ行き、何とか支払っていましたが、とうとうそれもできずに自己破産を決意することに。

そしてAさんは思いました。
「俺は不動産投資詐欺にやられたのではないか…」と。

かぼちゃの馬車も実質的にはAさんと同じ流れ

実はかぼちゃの馬車の問題もAさんと全く同じ流れです。
スマートデイズはスルガ銀行をメインバンクに、かぼちゃの馬車のビジネスを展開していました。
スルガ銀行の担当者はかぼちゃの馬車を始める投資家に対して、簡単な審査で多額の融資を行っていたと報道されています。
また、心配する投資家にスルガ銀行の担当者は「このかぼちゃの馬車のスキーム(計画)には自信があります」と話していたそうです。
安心した投資家はスマートデイズとサブリース契約を結び、スルガ銀行から多額の融資を受けてシェアハウスを建築することに。
しかし、平成17年夏までは支払われていた家賃が秋には減額され、さらにだんだんと少なくなって、平成18年1月には支払いが停止します。

投資家である大家は自己資金でスルガ銀行へ返済する必要が出てきて、中には生活を圧迫してしまい、最悪では自己破産を選択する人も出てきました。
投資家にしてみれば契約期間中は家賃が保証されていると信じているのですから、パニックを起こしてしまうのも仕方がない話ですよね。

こんなことが許されるのでしょうか?
しかし、サブリース契約の真実を理解すると、この一括借上げ契約の真実が見えてきます。少し驚きの内容ですが、よく内容を理解して下さいね。

借地借家法32条がサブリースを無効にしてしまう

日本には借地借家法と呼ばれる法律があり、土地や住居の賃貸契約に関する規定が定められています。
その中のある「借地借家法32条」が曲者で、そこには「当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる」と定められています。
つまり、土地や建物を借りている人は、将来家賃の増減を要求できるとなっているのです。

30年間のサブリース契約を結んで家賃を決めても、借主であるサブリース会社は1年~2年程度でも家賃の減額を要求することができることになります。
ここが大家である投資家の勘違いポイントで、一度決められた契約は変更できないと思っていますが、実際には借地借家法で変更できると決められていたのですね。

またサブリースの契約書に「家賃の減額はしない」と書かれてあっても、それは法律的に無効であり、減額を請求できることは借主であるサブリース会社の権利です。
また借主には契約を解除する権利も認められており、長期の契約を結んでいても一定の条件で契約を解除することもできます。

現状の借地借家法は借主を保護する側面が強く、その意味ではサブリースを結ぶサブリース会社が法的には強い立場です。
かぼちゃの馬車では運営会社のスマートデイズが破綻していますが、それ以外のサブリース会社でも同様のことが頻発して多くの裁判が起きていることを覚えておきましょう。

サブリースにおける各々の立ち位置を確認しよう

サブリースでの各々の立場や立ち位置を確認することで、借地借家法が見えてきます。

■ 不動産投資家(大家):アパートの持ち主、サブリース会社(建築会社)に対する貸主
■ サブリース会社(建築会社など):不動産投資家に対する借主、入居者に対する貸主
■ 入居者:サブリース会社に対する借主

つまり、サブリース会社はアパートの持ち主である不動産投資家から見ると、借主であり借地借家法で守られる立場になります。
あくまで転貸目的であっても借主に違いはなく、個人、法人で違いも出ません。

「ちょっとおかしいな?」と私も思いますが、この借地借家法は古い法律で、現状に即してない部分があるのは事実。
しかし、定められている以上仕方がないのもまた事実です。

サブリース契約を結ぶ場合に注意するポイント

スマートデイズ以外にもサブリースの問題は多く発生しており、その多くが家賃を不当に減額されたことです。
特に銀行への返済額よりも下げられた場合、不足分は自腹で返済しなくてはならず、生活に大きな支障がでます。
また契約を解除されてしまうと、入居者の管理などを一から自分で行わなくてはならず、大きな負担となってしまうでしょう。
そこでサブリース契約を結ぶ場合に後悔しない注意ポイントをいくつか紹介します。

【家賃の減額を始めから計算に入れる】
先に説明したように借主保護の観点から、家賃の減額を求める権利が借主にあります。
つまりサブリースの契約書に「毎月50万円」と記載があっても、それは契約当初のものであって、契約期間中の全てを保証していません。
特に近隣エリアの同じ大きさの家賃平均(一部屋)が5万円程度なのに、7万円~9万円もの家賃を保証しているサブリースは、近いうちに家賃減額の通知を受けることになるでしょう。
予め家賃が減額されても大きな問題にならないように、余裕を持ったアパート経営を計画して下さい。「サブリースでは必ず家賃が下がる」と肝に銘じることが大切です。

【契約解除されても大丈夫な物件を選ぶ】
サブリース契約では家賃減額を受け入れないと、契約解除になることが多いようです。
建築会社にとっては上手く契約解除になった方が、アパートを運営する手間がなくなり、大家さんがゴネても絶対に減額を取り下げることはありません。
そこで大切なのが、サブリース契約を解除されても、自己運営できるアパートを建築することです。
サブリース契約を解除されても安心なアパートの条件を見てみましょう。

■ 駅から徒歩で10分程度の立地
■ お風呂とトイレが別に設置
■ スーパーやコンビニなど買い物エリアが近い
■ 大学や専門学校が近い
■ 飲食店が多数ある
■ その他

このような立地にあるアパートは、サブリース契約を行わなくても十分に利益が出ることが予想できます。
自己管理でも不動産会社に管理を委託することもできます。

【売却しやすい物件を選ぶ】
アパート経営の出口戦略は売却です。
サブリース契約を解除されても、土地や建物に価値があれば、売却することで大きな損失にはならないでしょう。
そのためにはアパートを建築する際に、不動産売買が活発に行われているエリアを選択することも重要です。

【融資は控えめに行い担保価値を過大評価しない】
アパート経営を行うには多額の費用が必要で、その多くを銀行の「アパートローン」に頼ることになります。
かぼちゃの馬車でもスルガ銀行がその役割を担っており、被害を受けた投資家から銀行の責任を問う声も出ています。

特に大きな被害が出ているのが「フルローン」と呼ばれる、資金全てを融資で賄う方法で、数億円の借金を抱えた状態で、サブリースが崩壊すると目も当てられない状態になります。
融資額が大きいほど、サブリースが減額されたり、停止されたりするだけで行き詰まりも早まります。
そうなると道は自己破産しかなく、保証人や家族にも大きな負担となることは間違いないでしょう。
いくらサブリース物件であっても融資額は極力抑える努力をする。
またアパートの担保価値を過大に評価しないことも大切です。

サブリース契約の先には明るい未来は見えない

サブリース契約の全てが失敗している訳ではありませんが、それは一部であり恵まれた立地や人の流れに支えられているだけです。
サブリースのスキームには大きな矛盾があり、そもそも30年間も全部屋の家賃を保証することは難しいことです。

アパートやマンションは築年数により家賃が安くなり、また高額な修繕費も必要です。
悪質な建築会社ではサブリース契約を結んでいる大家さんに、定期的に大規模修繕を求める会社もあるそうです。
そしてまだ必要のない修繕にお金を取られて、さらに家賃まで減額されてしまいます。
これでは銀行の返済などできるはずがありません。

まず考えてみましょう。
サブリースを推進しているサブリース会社は、「不動産管理専門会社」ですか?
それとも「建築会社の不動産管理部門」でしょうか?
答えは大半が「建築会社の不動産管理部門」です。
建築会社はアパートの家賃ではなく、建築することで利益を上げる会社です。
サブリースを餌に高い建築費でアパートを建てて、それで高収益を上げているのです。
そして入居率が下がったら、会社に負担が出ないように家賃の減額。
これではAさんの言うように「詐欺ではないか?」と思われても仕方がないですよね。

サブリースを利用した不動産投資では、明るい未来を見ることは難しいと思って下さい。

法律の改正が望まれるサブリース契約のこれから

借地借家法の第32条で守られてきたサブリースですが、近年の問題多発で「果たしてサブリース会社は賃借人なのか?」との疑問が出てきています。
これまでも裁判では会社であっても立場は賃借人であり、借地借家法の第32条が適用されるとの判決が出ていますが、現在行われている裁判ではそれが変更される可能性も否定できません。

そうなるとサブリースにおいて家賃減額ができなくなる可能性もあり、一括借上げシステム自体が消滅することになるでしょう。

かぼちゃの馬車の問題は、サブリースを餌に多くの投資家からお金を集めて、沢山のシェアハウスを建築しました。
しかし、入居者が集まらなかったことで、自転車操業となり最終的に破綻してしまったのです。
このような例はこれからも増加するのではないでしょうか?不動産投資では馬車から落ちない投資家でなくては成功することはないのです…

「えっどうしたらそうなれるかですって?」

「それは怪しい魔法使いの馬車には乗らないことが一番ですよ!」

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著者情報
moose

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会社経営を経て夢のセミリタイヤを45歳で実現し、のんびりするはずが性格なのかファイナンシャルプランナーとして独立するはめに(泣)…成人した子供よりもポメ2匹を溺愛しています。のんびり書きたいライターです。

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