株式投資に「クロス取引」という方法があります。
株主優待を実質的にコストをかけずゲットできる裏技的手法として優待投資家に人気の方法です。
「クロス取引という株主優待をタダ取りできる方法があると聞いたのですが・・・」
「クロス取引という名前は耳にしたことがあり、株主優待のお得なゲット法があれば知りたいです。
しかし、株式自体よくわかりません」
「美味しい話だと聞いたので、裏を感じてしまいます」
という株初心者の方に、クロス取引とはどんなもの?なぜ株主優待をタダ取りすることができるの?という理屈から実際のやり方までを解説します。
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株取引の目的は色々!応援の気持ちから株主優待まで
株の取引は、「お店に例えて考えること」でわかりやすくなります。
株初心者の方は、心の中でお店の店長になってください。
そして、お店(自分自身)が利益を上げるつもりで株式を仕入れると考えてみてください。
株を100円で仕入れし、120円で販売します。
ここで実際に株が売れたら単純計算で20円の儲けが出ます。
仕入れた商品を売却するためには、市場を考えることが鍵になります。
例えば女子高生に大人気のコスメととそこそこ人気のコスメがあったとして、どちらがすぐに売れると予想しますか。
どちらがより高値がつくと思いますか。
自分が店長なら、どちらのコスメを仕入れて販売しますか。
どちらのコスメを仕入れた方が、より利益があると考えますか。
商品の販売や仕入れと株取引は似たようなところがあります。
「株」という商品をなるべく安く仕入れ、なるべく高く、あるいは自分に利益が出る価格で売却します。
上手く売るためには市場を予想しなければいけません。
ここに株取引の面白味があります。
手数料などを差し引いて最終的に利益を出す。
これが株取引の基本です。
普段は1万円で販売されている株が、今日は9千円だった。
ラッキーと思って9千円で購入し、9千5百円で販売する。
すると、普段より5百円安かったためすぐに売れて、手許には5百円の利益が!・・・こんな感じです。
いかがでしょう。
ちょっとお店の「仕入れと販売と利益の関係」に似ていませんか?
この売却により利益を出すというメリットの他に、株によっては所持していることにより「配当金」を得ることができるなどのメリットもあります。
また、今回の記事タイトルにも登場している「株主優待」も、株を所持していることによって得られるメリットの1つです。
このように、株にはいくつものメリットがありますので、自分は具体的にどれが目的なのかを考えておくことが重要です。
なぜなら、売却によりメリットを受ける場合、値動き次第によっては株をすぐに手放すことも考えなければいけません。
しかし、株主優待をメリットとして受けるためには「所持期間」もポイントになってきます(詳しくは後述します)。
自分にとってどのメリットが最優先か、順位付けをしておくことも、株取引では重要になります。
株を持っているだけで優待が!知っておきたい株主優待の知識
株取引のメリットの1つが、今回の記事のテーマの1つでもある「株主優待」です。
株主優待とは、株を所持しているだけで受けられる優待のことです。
株主優待には色々な種類があり、それぞれの会社により優待内容が異なっています。
ジュースなどの物がもらえる会社もあれば、金券のもらえる会社もあります。
また、株を発行している会社の割引券やサービス優待券がもらえる会社もあります。
一例として、5つの会社の株主優待を紹介しましょう。
吉野家ホールディングス
牛丼のお店で有名な「吉野家」の株主優待は、100株で1枚の額面が300円の優待が6,000円分もらえます。
半期ごとに3,000円分の、計6,000円分です。
株主優待の優待券券面が1,000円などの高額だった場合、吉野家の価格帯を考えると「ちょっと使い難い」という印象があることでしょう。
しかし、1枚が300円ですから「ちょっと吉野家で牛丼を」という時に1枚ずつ使いやすく、男女を問わずとても人気があります。
牛丼屋である吉野家だけでなく「花丸うどん」などでも使えますので、「ちょっとお昼」という時に嬉しい株主優待です。
⇒ 吉野家ホールディングス・株主優待情報
ビックカメラ
株主優待ファンなら注目していると言われるビックカメラの株主優待は買い物優待券です。
ビックカメラの株主優待は長期保有によっておまけがつくのが嬉しい株主優待になっています。売らずに保有していると、保有年数によってさらに優待券を受け取ることができる仕組みです。
ビックカメラは家電からお酒まで取り扱いがありますので、生活から趣味まで色々な使い方ができます。
⇒ ビッグカメラ・株主優待制度
イオン
全国どこにでもある日用品や食品を取り扱うスーパーマーケット「マックスバリュー」などのイオンの株です。
イオンの株は100株の保有で、買い物代金3%キャッシュバックという優待を受けることができます。
イオン系列店ではお客さま感謝デーなどの割引サービスが定期的に開催されています。
お客さまサービスデーなどにお安く買い物をしてさらに株主優待でキャッシュバックを受けるというお得な使い方ができる株主優待です。
⇒ イオン・株式債券情報
ユニバーサルエンターテインメント
パチスロ台などを製造している会社です。
株主優待はもしやパチスロ台・・・と思うかもしれませんが、そうではありません。
会社オリジナルの小物や家電などが株主優待になります。
株主優待は100株からもらえ、会社オリジナルのコラボ電卓や有田焼の皿などが優待として株主に配られたことがあります。
確かにパチスロ台も電化製品です。
ちょっとした小物の優待が送られてくるのも面白いのではないでしょうか。
⇒ Yahoo!JAPANファイナンス・ユニバーサルエンターテインメント
イオンファンタジー
「イオンの株主優待はもう紹介したのでは?」と思うかもしれません。イオンファンタジーはイオンそのものではなく、イオンなどの店舗内にアミューズメント店「らんらんらんど」や「モーリーファンタジー」などを出店している会社です。
株主優待は100株からで、3,000円分の利用チケットが配布されます。
加えて、魚沼産のコシヒカリが3kgついていました。
⇒ イオンファンタジー・株主優待情報
こうして色々な会社の株主優待を見ていると、物から優待チケットにキャッシュバックサービスなど、様々な株主優待があることがわかります。
近年、自治体ごとの特産品を返礼品として受け取ることのできる「ふるさと納税」が人気を博しています。
会社の独自色がたっぷり出ている株主優待も負けていません。
お得になることは、もちろん嬉しいことです。
ただ、株主優待には「企業色」があるからこそ、お得さに企業独自の魅力が拍車をかけているのではないでしょうか。
テレビでも株主優待が取り上げられ、株主優待人気はとどまるところを知りません。
某テレビの某自転車で株主優待のために疾走するおじさんのコーナーを見て株主優待に注目するようになった人や、ますます興味が出た人もいるのではないでしょうか。
他にも株主優待には色々な種類があります。
わかりやすい記事が他にもあります。
参考になさってくださいね。
[SaLinkDesigner id=4836 layout=horizontal target=none]https://ecoeco-taizen.com/investment/25043.html[/SaLinkDesigner]
[SaLinkDesigner id=4837 layout=horizontal target=none]https://ecoeco-taizen.com/investment/shareholders/2153.html[/SaLinkDesigner]
株主優待ゲット!のために知っておきたい注意点
株主優待をゲットするためには、株主優待を配布している会社の株を購入しなければいけません。
加えて、次の4つのポイントに注意する必要があります。
■ 株主優待を受けるためには権利確定日に株主でなければいけない
基本的に、株主優待を受け取るためには、「権利確定日」に株主である必要があります。
例えば、権利確定日が3月30日だったとします。
株主優待を受け取るためには、この権利確定日に株主であればいいのです。
基本的に保有期間は関係ありません(保有期間に条件がある銘柄もたまにありますが)。
会社側が株主かどうかの判断に使うのは、株主名簿への記載になります。
3月30日の時点で株主かどうか判断するために、会社側は株主名簿を確認します。
つまり、3月30日時点で株主名簿に「自分が株主です」というかたちで名前が記載されていることが必要になるわけです。
■ 株主優待を受けるためにはまとまった単位が必要!
1株でも所持していれば株主優待を受け取ることができるというわけではありません。
各社で株主優待を受け取るために必要な株の単位(株式数)を決めており、優待を受けるためには最低でもその単位を所持している必要があります。
既に紹介した会社の株主優待は、最低所持単位を100株と定めていました。
100株以上購入し、所持することが株主優待を受ける条件というわけです。
株主優待を受け取りたい場合、株主優待を受け取ることのできる株の単位は必ず確認しておきましょう。
「株を買ったけれど、株主優待には足りなかった」では意味がありません。
■ 株主優待を受けるためにはまとまった金額が必要!
株を購入するためには、ある程度のまとまった金額が必要です。
累積投資というかたちで少しずつ株を購入することもできるのですが、積立方式だと微々たる単位しか購入できません。
金額は一概に言うことはできませんが(会社ごとに株価が異なるからです)、最低でも数万円から十数万円、会社によっては百万円以上の資金を準備する必要が出てきます。
株主優待を受けるためには「株主優待を受けることができる単位の株を購入しなければいけない」イコール「まとまったお金が必要」というわけです。だからこそ、「安く購入できれば有り難いよね」「少しでも安く株を買いたいよね」という話になります。
また、「株を買ったからには、株価が下がらなければ有り難いよね」という話にもなります。
そこで、お得に株を取り引きできる方法である「クロス取引」の出番になります。
クロス取引については次の項でお話します。
まずは「株主優待を受け取るためにはまとまった株の単位が必要で、まとまった株の単位を購入するためにはある程度のまとまった額が必要になる」ことを頭の片隅に置いてください。
■ 株主優待の権利確定日の付近は株価がドンと下がることが!?
株主優待のついている株は、権利確定日の付近で株価が上下する傾向にあります。
株価の上下は株主優待と大きな関係があります。
株主優待を受け取るためには、株主名簿に記載が必要でした。
ですから、株主優待が欲しい人は、権利確定日前の株主名簿に記載が間に合う日付を狙って株式を購入します。
株主優待の権利確定日が近くなると、株主優待が欲しい人の買い注文が増えることが一因となって株価が上がると言われています。
株主優待をもらうための手続きが間に合うぎりぎりの日が過ぎると「今この会社の株を買っても株主優待がもらえるのはかなり先だから、いらな~い!」「今買っても株主優待がもらえないから、魅力が半減だね」「手続きも間に合わないし・・・」などの理由で、株価が下がる傾向にあると言われます。
株主優待をもらうことのできる手続きが間に合う日付までじわじわ株価が上がって、間に合わなくなると、すとんと株価が落ちる。
絶対ではありませんが、株では「あるある話」です。
株主優待を欲しいと思っている人は、この権利確定日付近の株価の上下に気をつける必要があります。
株主優待が欲しくて20万円で買った株が半値の10万円になった・・・などのリスクが考えられるからです。
「株主優待をもらえれば黒字では?」と思うかもしれません。
確かに株主優待を受け取ることができればラッキーですが、株主優待で受け取る利益以上の値下がりがあれば、資産がその分だけ目減りする計算になります。
20万円で買った株の株主優待が3千円くらいの商品の詰め合わせだったなどの場合、株価が10万円分値下がりしたら大赤字になってしまいます。
株主優待の権利が確定した後の値下がり対策が重要になります。
そこで登場するのは、またもや「クロス取引」です。
クロス取引は、株主優待目当てで投資する際に株価下落で損を出さないようにするための対策的に使うことのできる取引方法なのです。
上級者向け株取引「クロス取引」の方法とは?簡単解説
クロス取引とは「つなぎ売り」とも呼ばれる、信用取引を活用した株取引の1つの方法です。
クロス取引に「株主優待をタダ取りできる方法。ラッキー!」という印象を持っている人もいますが、正しくは「株主優待を目的とした株取引で、株価下落によるリスクを軽減する取引方法」です。
「株を購入する代金を用意する必要一切ナシ!」「完全にタダ!」「手数料もなし!」という美味しい話ではないのでご注意ください。
前述した「権利確定日付近は株の値がすとんと落ちてしまうことがありますよ」「株主優待を受け取るためにはまとまった金額が必要ですよ」という注意点から、「だから株価の下落リスク軽減する方法を考えてみましょう」「リスク軽減の方法としてはクロス取引(つなぎ売り)という方法があります」「クロス取引(つなぎ売り)を上手く活用すれば、株価の下落リスクを軽減できるため、株主優待ゲットにより総合的に黒字にできる可能性が高くなります」というふうに話が繋がります。
特に「信用取引は怖そう」「いきなり難しい話になった気がする」と感じた人は、ここまでの話を頭の中で整理してから次に進んでください。
株主優待をもらったら株を売る・・・この流れで株価下落の痛手の可能性
通常の売買をする場合、いかに株価が下がろうと、手放すなら赤字覚悟になります。
回復を待つにしても、「株価が落ちて困ったな」とやきもきしながら所持し続けることになります。
いずれにしろ、「赤字」「懐にダメージ」「財産が減る」「株主優待をもらっても総合的にはマイナス」という話になります。
株主優待を目的とした取引では、権利確定日付近の株価の値動き(主に下落)は恐ろしい存在です。
そこで、「クロス取引」の出番です。
クロス取引とは「信用取引と現物取引をクロスさせる」方法
クロス取引は、株価の下落をカバーする方法できる方法です。だからこそ、クロス取引を上手く活用することで、株主優待の権利確定日の近辺に株価が下落することをカバーすることができます。
自分のお金の範囲で株を購入することを「現物取引」といいます。
対して、自分の所持金以上の株を購入できる方法を「信用取引」といいます。
お金が足りていないのに、「後で返すから。ね?」と「信用」によって所持金以上の取引をするのです。
足りない分のお金や株は証券会社から借ります。
信用取引で株を購入することを「信用買い」といい、信用取引で売ることを「信用売り(空売り)」といいます。
クロス取引では、現物取引と信用取引をクロスさせて使います。
A社株を購入し、同時に同じ価格でA社株を信用売りします。
現物取引と信用取引を同時にクロスさせるように使っています。
このように、売りと買いに使うことによって損と利益を上手く相殺する方法がクロス取引です。
例えば、A社株を現物取引だけで売買するとします。
A社株を100株1万円で購入しました。
自分のお金の範囲で買ったので、現物取引でした。
株主優待の権利が確定したので、もうA社株は売ろうと判断し、株価を確認しました。
株価は100株が5千円に下がっていました。
特に信用売りの手続きはしていなかったので、5千円の損失が出ました。
ここで、クロス取引を用いた同じ例について考えてみましょう。
A社株を現物取引にて100株を購入すると同時に、A社株を100株信用売りする手続きをとりました。
片方が現物取引で、片方が信用取引というクロス状態です。
株主優待の権利が確定してからA社株の株価を確認すると、株価がドンと落ちていました。
しかし、株を売る手続きは既にしています。
ドンと株価が落ちても、買いと売りを同じ株価で約定させているので、落ちた株価によって懐がダメージを受けることはありませんでした。
クロス取引によって、このように株価下落のリスクとダメージを軽減させることができます。
株主優待をお得にゲットするためのクロス取引の使い方
ただクロス取引をすれば株主優待をお得にゲットできるというわけではありません。
信用取引と現物取引をクロスさせる日付に注意することが重要になります。株主優待をお得にゲットするためには、次のような流れでクロス取引をすることになります。
1、現物取引で株の買い注文を権利付最終日までに出します
2、現物取引と同じ株の数と株の価格で信用取引の売建の注文をします
3、権利付最終日の翌日以降に現渡を指定して決済します
1~3が基本になります。
買って、売る約束をして、現物で決済(現物で株を返す)・・・という流れです。
とりあえず現物取引と信用取引をクロスさせれば何でもOKというわけではいということです。
コストをおさえるため、信用取引の種類にも注意する必要があります(後述します)。
「現渡(げんわたし)」とは、借りた株をあらためて購入してから返すのではなく、保有中の株をそのまま返す方法です。
イメージし難いかもしれません。
簡単に、こんな想像をしてみてください。
Aという書籍を借りました。
A書籍をあらためて購入して返すのではなく、手許にあるA書籍をそのまま返す方法が現渡です。
「新しく調達したものではなく自分の手の中に現在、現実にあるものを渡す」というイメージをしてみてください。
「なぜ現渡を使わなければいけないの?」と疑問に思うかもしれません。
既に説明した通り、株には色々な取引方法があります。
株の売買では、どんな方法で売買するか指定することになります。
その際に、決済は現渡と指定することによって、色々な方法の中から現渡が選択されると共に、株主優待をお得にゲットすることに繋がります。
なぜでしょうか。
それは、新しく調達すると、コストが必要になるからです。
自分の手の中にある現物を「はいどうぞ」と差し出す場合は、差し出せばいいだけです。
基本的に現渡では、手数料がかかりません(あくまで現渡決済手数料がかからないというだけで他の手数料がかかることがあります)。
再調達して渡すと、再調達するためのコストが必要になります。
書籍Aで考えれば、書店に足を運ぶための交通費などがかかることになるため、負担が大きくなります。
新しく調達した書籍Aではなく、自分が現在持っている書籍Aを渡してしまった方が、再調達のコストが必要ないぶん、コストをおさえることができます。
現渡も似たようなイメージをすると、大体の感覚が掴めるのではないでしょうか。
クロス取引でリスク対策をしながら株主優待ゲット!気をつけたい3つの落とし穴
クロス取引の方法とメリットについて何となく理解していただけたでしょうか。
初めての人には難しく感じられるかもしれません。
少しずつ株取引に慣れてくると、株取引の用語をたくさん覚え、取引自体への不安感も薄れてきます。
クロス取引などの上級者向けの取引方法にも、知識を深め経験を重ねることによって、スマートに挑戦できるようになるはずです。
クロス取引は株主優待目的の株取引の値下がりリスクをカバーできる、メリットのある取引方法です。
クロス取引を使いこなせるようになれば、より株主優待や株が楽しく感じられるようになるはずです。
クロス取引を活用し、より株取引と株主優待を楽しむことができるよう、3つの落とし穴にストンと落ちてしまわないように、注意が必要です。
クロス取引のためには信用取引用の口座開設が必要
クロス取引は信用取引が関わります。
だからこそ、信用取引用の口座を開設する必要があります。
信用取引用の口座開設手続きは、証券会社によって少しずつ異なります(クリックするボタンの場所など微妙な違いや文言の違い程度だったりしますが・・・)。
大体の流れは同じですし、難しいわけではありません。
参考までに、松井証券の信用取引口座を開設する方法を紹介します。
松井証券では、通常の口座を開設していれば、ネット上の口座管理画面から操作することによって信用取引口座を開設することができます。
ただし、ボタン1つで開設できるわけではありません。
開設の注意事項や必要事項の説明などが順に画面に出てきます。
投資経験なども入力する必要があります。
信用取引自体が上級者向けの取引でもあるため、「投資経験は大丈夫?」「信用取引はリスクもあるけど大丈夫?」という確認です。
承諾書も確認して送信すると、信用取引口座を開設するための審査が行われます。
証券会社側の審査をパスして信用取引口座が開設されると、ネットの口座管理画面上で確認できるようになっています。
口座情報の信用取引口座が「開設済」になっていたら、無事に信用取引口座の開設は終了です。
通常の口座開設をしたから大丈夫!・・・ではなく、信用取引口座の開設が必要になるという、手間があります。
クロス取引をしたいと考えている場合、手続きを忘れて、「いざという時に自分の望む取引ができない」という落とし穴に落ちないように注意が必要です。
⇒ 松井証券・信用取引 口座開設までのながれ
さらに個別銘柄に注意が必要!銘柄によってはつなぎ売りができないことも
せっかくつなぎ売り(クロス取引)をしようと思っていても、確認を怠ると大変なことになります。
なぜなら、株の銘柄の中にはクロス取引(信用取引)に使えない銘柄もあるからです。
株主優待を受け取って値下がりリスクを上手く回避するためにクロス取引を活用しようと考えていても、できなければリスク回避以前の問題です。
面倒でも、事前の確認はしっかりしておくことが必要です。
証券会社によっては、株の情報画面や一覧などでチェックすることが可能です。
特に初心者は、こつこつ調べることを怠ってしまうと、「面倒」がやがて「株ってわからない。難しすぎる」に発展し、最終的にちょっとした操作ミスなどで「株はやっぱり怖い。やめてしまおう」に繋がりやすいと考えられます。
こまめに確認しながら取引することをお勧めします。
完全な“タダ”ではない!取引のためには手数料などのコストが必要
クロス取引は「株主優待をタダ取りする方法」と言われますが、実際はタダというわけではありません。
クロス取引では「手数料などのコスト」が必要になるため、完全にタダというわけにはいきません。
クロス取引をするためには手数料や貸株料、逆日歩などのコストが必要になります。
信用取引では、「足りない分を証券会社から貸してもらう」のです。
お金の貸し借りを想像してください。
お金の貸し借りでは、タダで借りることはできません。
借りたら利息を付して返済することになります。
似たような感覚で、信用取引でも利息のようなコスト(手数料など)が発生するのだと、簡単に考えてみてください。
株で取引をする以上、元手も手数料などのコストも完全にタダという方法は、基本的に存在しません。
だからこそ「手数料などのコストを差し引いて総合的に黒字になればお得」という考えでクロス取引を活用することが重要です。
総合的に黒字にするためには、手数料などのコストもできるだけ軽減することが必要です。
特に注意したいクロス取引の要注意コスト「逆日歩」
信用取引は形態によってコストが変わってきます。
「一般信用取引」では逆日歩というコストは発生しません。
対して「制度信用取引」の場合、「逆日歩(ぎゃくひぶ)」というコストが発生する可能性があります。
各種のコストの中でも「逆日歩」は特に注意したいコストになります。
なぜなら、逆日歩が発生してしまうことによって「株主優待をお得に受け取りたい」どころか「大赤字を出してしまった!」という事態になりかねないからです。
クロス取引の中で発生することのある逆日歩こそがクロス取引をする上での要注意的な存在であり、なおかつ最も厄介な存在であると言っても過言ではありません。
逆日歩は、株不足によって発生するコストです。
クロス取引によってたくさんの人が「実質ゼロ円(にちょっとだけ手数料程度)で株主優待をもらってしまおう」と考えたとします。
空売りでは、証券会社から株を借りて取引します。
しかし、たくさんの人が1つの銘柄の株に対して空売りをしてしまうと、証券会社のストックしている株の在庫が尽きてしまうことがあるのです。
在庫が尽きたら、証券会社は株券の貸付をしてくれる日本証券金融株式会社に「株を貸してください」と在庫調達に走ります。
しかし、取引が多いと、それでも必要な株数を調達できないことがあります。
そんな時は、機関投資家(株をたくさん持っている銀行など。大口投資家)へ「株が足りないです!お願いですから株を貸してください」と、さらに走ります。
株を借りることができても、タダとはいきません。
株を借りるためのコスト(品貸料)が発生します。
これも、お金の貸し借りのように考えてみてください。
発生したコストは証券会社が全額負担してくれるわけではありません。
クロス取引などを行った株取引ユーザーが負担することになります。
株主優待を限りなくゼロに近い金額で入手したいと考えていた人たちにとって、逆日歩はまさに「怖いコスト」であり、「支払いたくない予想外のコスト」なのです。
しかも、逆日歩が発生するかどうかを予想することは可能ですが(後述します)、予想は絶対に当たるわけではありません。
特に初心者は、逆日歩注意報を見逃してしまうことも考えられます。
株主優待ユーザーが泣いた!思い出すだけで恐怖する逆日歩伝説3つ
「コストの中では逆日歩に要注意!」と繰り返すより、事例を見ていただいた方がわかりやすいはずです。
逆日歩が今までどんな伝説を作り上げ、クロス取引ユーザーを怖がらせてきたか、語り継がれる3つの「あの日たくさんの株主優待ユーザーが泣いた!逆日歩伝説」をお話しましょう。
1,500円相当のタコ焼きが13,500円相当になった日
歌うアイスクリーム屋さんとして有名な「コールドストーン」や、ネギタコ焼きで知られる「銀だこ」を運営する「ホットランド」という会社の株式優待が、2017年12月末に逆日歩によって引き起こした伝説です。
ホットランドの株主優待は100株以上500株未満で3,000円相当(半年ごとに1,500円相当)の優待券となっています。
年末にクロス取引が多発した影響で逆日歩が発生し、1,500円相当の株主優待を受け取るために13,500円ほどのコストを支払うことになりました。
伝説の「ほぼタダ取りできるはずだったのに!1,500円が13,500円の高級タコ焼きになってしまった事件」です。
⇒ ホットランド・株主優待情報
伊東ハムの詰め合わせセットが超高級ハムになった日
阿部寛さんがイメージキャラクターを務める「伊藤ハム」でも、逆日歩が大きな話題になったことがあります。
伊藤ハムの株主優待は、1,000株以上で5,000円相当の自社製品でした。
クロス取引を使ってお得に株主優待をゲットしようという人がたくさん出てしまったため、ここでも2016年3月に逆日歩の伝説が生まれてしまいました。
逆日歩のコストが1株あたり36円だったため、1,000株で36,000円ほどです。
伊藤ハムも、かなりの高級ハムになってしまいました。
⇒ 伊藤ハム・株主優待制度
湖池屋でも逆日歩!日本で最もお高いポテチ誕生
世界で最も高額なポテトチップは、スウェーデンのビールメーカーが出した一流シェフの手による5枚で約6,100円のポテトチップだといわれます。
日本で比較的お高いポテトチップスの価格は、大体300円代から400円代になっています。
「ポテトチップスとはこんなに高いお菓子だっただろうか」と、びっくりしてしまいます。
さすがに5枚で約6,100円とはいきませんが、日本のある会社のポテトチップスが逆日歩により、とんでもないポテトチップスになってしまったことがありました。
湖池屋は、100株以上で1,000円相当の自社製品を株主優待として配っています。
手を出しやすい、お手頃感のある株主優待です。
しかしこの湖池屋の株で、2016年12月に逆日歩による伝説が生まれてしまいました。
1株あたりに320円のコストが発生してしまったため、1,000円相当の湖池屋製品を受け取るために32,000円ほどのコストが発生してしまいました。
ダントツで日本1お高いポテトチップス化してしまったのです。
株主優待を求めてクロス取引をした人たちからは「こんなはずではなかった」「高級すぎるポテチ」という嘆きの声が聞かれました。
⇒ Yahoo!JAPANファイナンス:湖池屋
逆日歩などの高額コスト発生の防止策はあるの?
信用取引の形態や逆日歩の発生などによってコストが変わってきます。
クロス取引のコストには細心の注意をはらう必要があります。
株主優待で得た利益よりコストの方が高くなっては、お得どころかマイナスです。
逆日々をはじめとして、コストをどれだけ削るかがクロス取引では重要になります。
そこで、次の3つの対策方法を紹介しておきます。
絶対に逆日歩によるコスト発生を防止できるわけではありませんが、取引をするかどうかの判断材料になります。
リスク軽減に役立ちます。
対象銘柄の信用倍率に注目しよう!
株主優待が人気の株は、それだけほぼ元手ゼロ円での株主優待取得を狙ってたくさんの人がクロス取引をします。
結果的に、信用取引のためにストックしてある株が在庫切れを起こしてしまい、逆日歩のリスクが高くなります。
みんな、考えることは同じだということです。
逆日歩はコストの高さだけでなく、自分が取引する時に「今取引するとコストが発生します」というところも恐れられています。
いきなり「コストが発生しました!」となるところが、逆日歩の恐ろしさです。
逆日歩などのコストが発生するかどうかを判断するために、対象銘柄の信用倍率を参考に考えるという方法があります。
信用倍率(取組倍率)とは、証券会社などで公表している、空売りと信用買いの状況を示す数字です。
信用倍率は基本的に1以上の数値になっているのですが、逆日歩が発生する可能性が高い時は1を切ります。
1を切るかどうかが1つの判断材料になります。
ただし、信用倍率をチェックして「まだ大丈夫」と思っても、決して油断はできません。
なぜなら、信用倍率は常時リアルタイムではないからです。
当日分の信用倍率は基本的に翌日に数値が公表されます。
「1以上だから大丈夫」と安心している時点で既に1を切っている可能性もあるため注意が必要です。
信用倍率のチェックで絶対に逆日歩を回避できるわけではありません。
ただ、株主優待を目的としたクロス取引では、参考にしたいデータです。
初心者は活用したい!天気予報ならぬ逆日歩予報
SMBC日興証券などは、天気予報ならぬ「逆日歩予報」を提供しています。
蓄積したデータをもとにして、逆日歩が発生確率、発生するならどのくらい大きな逆日歩かを予報するサービスが逆日歩予報です。
「逆日歩の予想が難しい」「逆日歩がいきなり発生して大変」「参考できる情報があればいいのに」という顧客の声から生まれました。証券会社には長年の株データが蓄積されています。
証券会社が発表するデータという点で安心感があるのではないでしょうか。
逆日歩予報は、SMBC日興証券に口座開設をすることによって受けられるサービスの1つです。
雨という予報が出ても、実際は晴れることがあります。
反対に、晴れの予報が出ていても、大雨が降ることがあります。
予報が100%当たるわけではありません。
しかし、初心者がクロス取引をする上での心強い味方になってくれることでしょう。
証券会社ごとに色々なサポートが用意されています。
サポート内容は口座開設の前にチェックして「クロス取引に使える?」「株主優待のために有利かな?」と考えて、自分に合ったサポートのある証券会社をチョイスすることも重要なことです。
最後に
株は所持していると株主優待などを受け取ることができますし、値上がり時にバンと売却することによって利益を見込むこともできます。
資産運用法として優秀な方法の1つです。
ただし、リスクをきちんと心に留めておかないと「生活費まで株に使ってしまった」「まとまったお金が元の額よりかなり減ってしまった」「単純だけど酷いミスをしてしまった」というお困り案件を生み出してしまいます。
株にはいくつかの取引方法があります。
クロス取引をはじめとした取引方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
自分に合った方法を考えるだけでなく、自分の運用スタイルや「なぜ株で運用するのか(目的は値上がりか、株主優待か。それとも応援か。株主優待と値上がりで総合的に利益が出ればいいのか、など)」を自分自身の中で整理して使いわけることが重要です。
1円お得になっても、1万円のダメージを背負ってしまうのでは、とてもお得とは言えないのではないでしょうか。「お得」のライン引きもしっかりと行いたいところです。
落とし穴にすとんと落ちてしまうと、株主優待を含めて株自体に苦手意識を持ってしまうことに繋がりかねません。
クロス取引を活用するにはまず基礎知識をしっかりと固め、自分自身の株式投資スタイルに合っているかどうかもよく考えた上で挑戦してみてください。
3つの落とし穴、そして株式運用自体のリスクも忘れず、ご利用は計画的に!
信用取引は、初心者がいきなり挑戦するには難しい方法でもあります。
今回の記事で何となくクロス取引の概要を掴んだら投資経験と知識を磨き、ある程度の取引を経験してから挑戦することをお勧めします。
株式投資の基本から優待に関する情報まとめページはこちら
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